Project Story プロジェクトストーリー
02

独自の魅力とビジョンを磨く。
情報共有から生まれる
都内大手アニメーション
制作会社との
コラボでホテルを再生

山梨県の観光地・富士河口湖町にある「ホテル湖龍(こりゅう)」は、本来であれば富士山の絶景が楽しめる河口湖畔沿いにありながら、客室から富士山が望めないホテルだ。
客室数は52室、2025年に創業50年を迎える。
ホテルを経営する有限会社ホテル湖龍の3代目は、元プロの漫画家というめずらしい経歴の持ち主。同ホテルならではの強みを活かして、地理的不利を逆手に夢を描きたい。本プロジェクトは、山梨・東京コネクトを基軸に老舗有名アニメーション制作会社「スタジオぴえろ」と地方の宿泊事業者とのコラボレーションを実現し、山梨県内に魅力的なコンテンツを増やしたプロジェクトだ。

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※紹介行員のインタビュー内容・所属等は取材当時のものになります
Episode 01

コロナ禍の事業承継と経営の立て直し、
試練を受けて紡がれた銀行とホテルの関係性

ホテル部屋内装

(A.Tさん)
叔父から事業を受け継ぐために東京から山梨に戻ったのは2018年。当時は、インバウンドのお客さまも学生や企業の団体旅行のお客さまも、幅広いお客さまの滞在を受け入れていました。薄利多売が加速して、建物への投資や維持管理もままならない状態を見て「これは大変なところに戻って来てしまった」と感じたのを覚えています。初めての会社経営に戸惑いながら、さらに1年後には新型コロナウイルス感染症が蔓延。山梨中央銀行さんとのお付き合いが始まったのはその頃です。経営者としては本当に経験がなく、経済用語も数字も学びながら進んできました。

(T.I)
私がいた融資審査部は、名前の通り融資の審査をする部署です。時に厳しいこともお伝えし、ドライになってしまう部分もあったと思います。ただ社長は、家業を継ぐために一大決心をして山梨に戻り、新たな人生を歩み始めたタイミングでのコロナ禍。ご自身も体調を崩すなど苦労が続いていて。数字は私も一緒に見るので、その先に希望を見いだしてほしいと考えていました。

A.Tさん

(A.Tさん)
どうしてもキャッシュが足りない時期も諦めずに向き合ってくれて、思わず「どうしてこんなに助けてくれるんですか」って聞いたことがあるんです。そのときに「地方の銀行が地域の産業を助ける、これは私たちの使命です」と答えてくださって。本当にありがたかったです。

(T.I)
印象深かったのは、今回のストーリーのメインでもある「山梨・東京コネクト」で、スタジオぴえろ様とホテル湖龍様のコラボ案が立ち上がったときですね。構想の詳細をお伝えする前に、社長と2人でブレストをしてビジョンマップを書いたんです。ホテル湖龍様に来たお客さまにどのような気持ちになっていただきたいのか、そのためにどんな旅館を目指すのか。改めて「銀行員にはもっとこういう姿勢が必要だ」と、強く感じる時間でした。

Episode 02

決意新たに、老舗アニメーション企業との
「山梨・東京コネクト」が始動

T.I

(T.I)
その頃にはコロナ禍を越え、事業再構築補助金などを活用してホテルの整備も進んでいて。でも「どんな旅館を目指すのか」という大切な部分を置き去りにして走ってきた感が拭えませんでした。山梨・東京コネクトを発動させるためにも、改めて社長に覚悟を持っていただこうという狙いもありましたね。

というのも社長は漫画が大好きで、アニメとのコラボ企画と聞いたら絶対にワクワクしてくださるのはわかっていたんです。でも私としては、本気で協力してくださる方々に対して、「楽しそう」だけではお返事できないとも感じていて。社長が描くビジョンに対して、今回の構想が最適解でなければお断りをする覚悟でした。

緊張して臨んだブレストでしたが、「非日常を超える非現実を味わえるホテル」というビジョンや、昭和レトロな雰囲気を活かすイメージは、私たちが描いていた構想にもぴったり。山梨・東京コネクトを機に売上を伸ばしていく必要もありましたが、「ホテル湖龍様は次のフェーズに移るのだ」と、私自身の心も決まりました。

(A.Tさん)
ホテルとしても建物の大規模改修をし、半数近い客室や食事会場をしっかりリタッチして、漫画カフェが完成したタイミングでした。それらの素地がなければ「とてもそのブランドは背負えません」と弱気になっていたかもしれません。コラボするアニメが「おそ松さん」と決まってからは、部屋と合わせて、女性ファンを受け入れるためのトイレや大浴場の改修も進めました。

T.I

(T.I)
私たちも実行部隊として現場に入り、コンセプト作成のコンサルタントを紹介したり、限定グッズ等の打ち合わせをしたり。週に1度は対面、チャットワークなども駆使してコミュニケーションを図り、企画を推進しました。

「おそ松さん新シリーズが始まるタイミングで部屋をオープンする」という時間的な制限がありましたから、進行は急ピッチ。みんなが「実現して良かった」と思える関係性を維持できるよう、進行管理には細心の注意を払いました。社長が漫画家という経歴をお持ちで、作品に関わる人の想いや重み、ファンの心理を理解できる方だという安心感は大きかったですね。経営者の想いに寄り添い、ダイナミックに仕掛ける。これが山梨中央銀行の強さなのだと感じました。

Episode 03

銀行の強みを活かしてホテルの魅力を最大化、
二つの視点がプロジェクトの鍵

おそ松さん×ホテル湖龍プレミアムルーム

(T.Y)
オンライン上にある掲示板で「河口湖のホテルが漫画カフェを作り集客している」という情報を見て、当時東京推進部の部長を務めていた私と、室長とで、現地に足を運んだのが着想のきっかけです。東京と山梨、銀行内にある2つのマーケットを繋げる目的で「山梨・東京コネクト」が始まり、東京側としてさまざまなプロジェクトの種が生まれている時期でした。
私も出身は山梨県ですが、勤務地はずっと東京。外から山梨を見ていると、まだまだ地域の可能性や集客できる余地を感じます。ホテル湖龍様に足を運んだ時も、やはり改善できる余地があってコラボ部屋の案を出しました。東京側はIPを使ったビジネス経験がありましたし、長くお取引があるスタジオぴえろ様にも話をしやすかったのです。

Y.S

(Y.S)
こうして東京と山梨のマーケットがクロスし始めたこと自体が、私たちの価値になりました。東京のお客さまには、誰もが知る大企業や芸能人の方もいらっしゃいますが、そうした顧客の情報は、山梨側に一切共有されていなかったのです。ホテル湖龍様とスタジオぴえろ様のコラボ案件は、今後目指す姿として、ひとつの成功事例ですね。

山梨県の活性化が目的ではありますが、都内のお客さまも、地方に興味を持つ方は多いんです。私たちも「当行と取り引きをするのであれば、山梨を知り、PRしてください」と声をかけるようにしています。都内から1時間半でアクセスできる大自然、言葉や食も独自の文化が残っていますし、山梨って、本当に価値があるんです。

T.Y

(T.Y)
山梨の良さは没入できる田舎ですが、今は、それだけではないエリアのブランド力や発信力、食や体験などのコンテンツを育てたいと考えています。地域に根付いて展開する地方銀行としての視点、都内に展開する余所者の視点、異なる2つのマーケットがあるのは、やはり強いですよ。

Episode 04

情報とマーケットの共有で、
行内に新たな働き方の文化を根付かせていく

Y.S

(Y.S)
「自由にマーケットをシェアできる」と定義できたのは、私たちにとっても大きな効果がありました。最近は「ジョブトライアル」という行内留学制度が広がり、例えば県内の支店に勤めてる若者も、東京のマーケットが体験できるようになりました。自分が担当しているお客さまの課題に対して、より広い視点で解決策を提案できるのではないかと期待しています。

(T.I)
ホテル湖龍様をはじめ、私たちが山梨でお会いする経営者の方には、一人ひとり明確なビジョンがあると思うんです。そのビジョンの達成に向けて、銀行という枠も山梨・東京という枠も越え、希望や可能性を与えられる組織をつくっていきたいですね。これまで当行は「バンク」という言葉を使っていましたが、最近は「カンパニー」に変わりはじめていて。銀行としての機能は持ち続けますが、多様化するお客さまのニーズに応じて戦う、総合商社のような形に進化しているのを感じます。

(A.Tさん)
おそ松さんの部屋ができてからは、定期的にアンケートを取って振り返りを行っています。湖龍ならではというところでは、やはり漫画やアニメが好きで絵を描く方も多くいらっしゃいますから、「交流ノート」というお絵描きノートを設置してあるんです。「コラボルームがきっかけで初めて河口湖に来た」とか「富士山が見られて感動した」とか、イラストとともに嬉しい声が届いていますね。やはり、旅行って現地に足を運んで体験するからこその良さがあると思っていて、ホテルやアニメ、漫画がその一助になれていることにやりがいを感じています。

(T.I)
私たちが持っている情報も、おそらくまだ属人的な部分があると思います。毎日職場で顔を合わせる行員同士でさえ、自身のお客さまの課題を共有することは難しい。ただ今回のプロジェクトを通じて、課題解決は一人では到底できず、全行員が一丸となるからこそ叶うのだと、強く感じました。
さらに言えば、組織というのは個の集まりで、その奥にはそれぞれの家族や大切な人がいるじゃないですか。県内企業の成長や発展に貢献することで地域が活性化していけば、結果的には山梨で暮らす多くの人が豊かになっていく。これからも東京と山梨、人と人の架け橋になれるよう頑張っていきたいと思います。

おそ松さん×ホテル湖龍プレミアムルーム おそ松さん×ホテル湖龍プレミアムルーム
おそ松さん×ホテル湖龍プレミアムルーム
Y.U
元漫画家の社長が厳選した10000冊以上の蔵書を置く漫画カフェ「りゅうのす」
©赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

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